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「惣治郎」スイミー
¥350
SOLD OUT
この世界に、愛がなかったことなんてない。 偽物の家族に疑問を持ち、どこか空虚に生きている高校生の『俺』は、ボロ家に一人で暮らす謎の青年・惣治郎と出会う。 生活感のない浮世離れした〝変な奴″惣治郎と過ごした、なんでもなくて大事だった短い日々。 ある時、彼が仏壇に向かって「先生」と涙する所を目撃してしまう――。〈惣治郎〉 絶望の先に愛を求めた人々の、それぞれの愛が時をかけ不器用につながってゆく。 表題作〈惣治郎〉の他、彼の絶望と幸福のすべてを綴る〈楽園〉、その後の話〈灯火〉を収録。 文庫/56p
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「ミツユメ」いと花
¥650
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ここにはなにひとつ本物はない。 僕はただの亡霊だ。 *あらすじ 大学一年の春、大講義室でシャーペンの芯をきっかけに知り合った夏生と光暁。いかつい見た目に反し真面目で勤勉な夏生に、光暁は次第に心を許してゆく。やがて些細な事情から大学卒業までを期限に共同生活を始めるが、卒業を前に、ふたりの生活は終わりを迎えることになる。 教師になった光暁の観察を日課とする女子高校生・松谷が知った彼の秘密(名無しの亡霊)。白紙の進路に立ち尽くす男子高校生・夏川が厭う、光暁につきまとう泥の正体(ハルナツ)。 長く湿った孤独の末に、彼が選んだものとは。 文庫/126p/カバー付き
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「びょうびょうたる季節」スイミー
¥450
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――取るに足りないものほど、愛おしい。 ある三月の晩、伏せた茶碗の中から突如として現れた〝ちいさな人″との静かな交流を描いた〈ちいさな人〉 陰鬱な少年が人知れず纏うむせ返るような夏草の匂いに魅せられ、目が離せなくなってゆく〈香る人種〉 水商売の女が、眠りの淵で聴く子どもたちの謎の声に心を捕らわれ、現実と非現実の境を危うくうろつく〈流転〉 など、少し奇妙で、取るに足らない、自然の岩の断面のような〝微妙な美しさ″を切り取ったショートショート五篇。 文庫/100p/カバー・帯付き
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「おかえりにかえる」いと花
¥450
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さようならの合図で、あなたにかえる。 *あらすじ みっつ歳上の幼なじみが突然仕事を辞めてきた。春先の深夜、家の前で拾った幼なじみ・瑤子の世話をすることになってしまった透志。大学四年、卒論に就活、面倒なバイト先の客。生きることで手一杯の透志などお構い無しに、自由気ままに生きている瑤子。彼女もまた誰にも理解されないところで、ひとり戦い続けていた。 透志の日常に入り込んできた瑤子の存在。日々の暮らし。そして訪れる別れの時。家族でも恋人でもない、友人とも違う。名前のないふたりで巡る緩やかな日々を綴った連作短編小説。 文庫/104p/カバー・帯付き